バイクやガジェットを愛する“ちょい悪オヤジ”に捧ぐ、ミニマルで骨太な防災ガジェット。それがCHACCARD(チャッカード)。財布に忍ばせるカード一枚で、停電・断水・避難の“最初の10分”を主導権ごと握り返す。本記事では、実際の緊急シーンでどう使えるかを、使い方のコツとともに一気に解説する。
カード一枚のEDCで、非常時の初動が変わる
EDC(Everyday Carry)の基本は「いつも携帯できる」こと。大型ツールは強いが、持ち歩かなければ絵に描いた餅だ。CHACCARD(チャッカード)はW55.7×H91×D8.7mmのカードサイズ。普段は財布やカードケースに、緊急時は即座に取り出せる。
搭載機能はノコギリ、鉋(かんな)、火打ち石&火起棒、麻紐カッター。用途を“初動に効くもの”へ絞っているから、やることが明確で迷わない。刃物のまち岐阜県関市の手仕上げ、燕三条製のノコギリといった日本の職人技が、サイズ以上の仕事を引き出す。
2つのモデルを理解する:通常版/インディゴメタル

共通機能:ノコギリ/鉋/火打ち石&火起棒/麻紐カッター
通常版:栓抜き・缶切りを搭載(マイナスドライバーは非搭載)
インディゴメタル:マイナスドライバーを搭載(栓抜き・缶切りは非搭載)。藍染金属「インディゴメタル」をケースの一部に使用。柄はHONOO/HANABI/TSUCHIMEの3種。藍ならではの風合いは使うほど味が出る。
ケースは強化樹脂、刃物・ノコギリは焼入れ炭素工具鋼、ストライカーは耐食性の高いステンレス。小さくても“道具”としての実力に手抜きなし。
停電で役立つ:まず火と段取りを確保
1)明かり・火を作る
- 鉋でフェザー(薄削り)を作る:割り箸や乾いた小枝を、鉋で“カール状”に薄く削る。空気が入りやすく、火花が乗りやすい着火材になる。
- 火打ち石&火起棒で着火:ストライカーを力まず、長めのストロークで角を使う。火花をフェザーの“風下側”に落とすと延焼しやすい。
- 安全第一:屋内は火気厳禁。屋外の非燃焼物上で。バケツや消火手段、濡れタオルを近くに。
2)食を回す
- 通常版の缶切り・栓抜き:停電初日は冷蔵・常温の缶詰が主役。缶切りの刃の角だけを当て、一定角度でリズムよく進めるときれいに切れる。瓶は栓抜きで即対応。
3)仮設を作る
- 段ボールをノコギリで加工し、即席のランタン台や“仕切り”を製作。麻紐カッターでガムテープや結束紐を素早く処理すれば、作業が止まらない。
- インディゴメタルのマイナスドライバーは、リモコン電池ボックスの開閉や、緩んだネジの応急に重宝。
断水で役立つ:固定と衛生の小ワザ
- 運搬・固定:給水所の帰路でペットボトルやタンクが暴れやすい。麻紐カッターで紐を必要な長さにすぐ切れるのが地味に効く。ハンドルやベンチに結べば安定。
- 干し場づくり:ノコギリで小枝をカットし、物干しの補助バーを作る。鉋で角を落とせば引っかかりにくい。
- 洗い物ゼロ作戦:缶詰+紙皿+ラップの“洗わないセット”を基本に。段ボールはまな板代わりの下敷きにも流用可能。
避難所でスマートに使う

- マナーと安全:刃物・火気は管理者の指示と表示を厳守。夜間の作業音にも配慮。
- 個人スペースの整理:段ボールを整形し、床との間に空気層を作ると冷えと湿気を軽減。麻紐で袋やタオルを縦に吊ると省スペース。
- 配慮の視点:子ども・高齢者の近くでの作業は避け、収納は常に鞄の最奥へ。出し入れは座った姿勢で。
バイク乗り向けの“持ち方”
- 収納場所:最優先は財布。サブでタンクバッグの内ポケット、あるいはサイドポーチの防水ポケット。雨天はジップ袋に入れて二重化。
- 振動・泥への耐性:ケースと金属パーツはタフだが、使用後の拭き取りと乾燥はルーティン化。ベンジン等の強溶剤は避ける。
- ツーリングの実例:停電の道の駅で、段ボール台+キャンドルで簡易ランタン。風のある河川敷では、フェザーを多めに用意→火起棒で着火→アルミ風防で風を切ると成功率アップ。
初心者向け:火打ち石の使い方
- 素材を乾かす:フェザー材はなるべく乾いた木で。ほぐした麻紐もあるとより簡単に。
- 姿勢:地面に近い低姿勢で。フェザーの手前5〜10cmから、ストライカーを強めに長くこする。
- 角度:火起棒の角にストライカーの刃先の角を当てる。丸く当てると火花が弱い。
- 空気:炎が出たらふいごのようにゆっくり送風。強く吹くと消える。
- NG例:屋内使用、可燃物の近接、雨中での無理な着火。風が強い日は風下に身を置くか、風防を使う。
※初期状態のストライカーは黒いカバーが付いているので、銀色になるまで表面をしっかり削っておくこと
法令・エチケットの要点
- 携帯の常識:公共空間やイベントでは、刃物の扱いに周囲への十分な配慮。管理者のルールを最優先。
- 保管:子どもの手が届かない場所。移動時はケース内に完全収納し、むき出しで持たない。
メンテナンス&保管術
- 拭き上げ:使用後は乾いた布で金属部を拭く。湿気が気になる日は薄く防錆オイル。
- 乾燥:濡れたら分解せず、ケースのまま陰干し→完全乾燥を待ってから財布へ。
- 配置の工夫:非常持ち出し袋にももう1枚。EDC(財布)と二重化すると、家に置き忘れても安心。
どっちを選ぶ?モデル選びの指針
- 通常版:缶詰・瓶モノの出番が多い家庭/アウトドアの飲食で活躍。缶切り・栓抜きが決め手。
- インディゴメタル:電池カバーや小ネジの応急、マイナスドライバーを重視。デザインと耐久、藍の風合いが刺さるならこれ。
どちらもサイズは同じ。“普段の自分の困りごと”で選ぶのが失敗しないコツだ。
よくある質問(FAQ)
- 栓抜き/マイナスドライバーは?
栓抜き・缶切りは通常版。マイナスドライバーはインディゴメタル。両搭載モデルではない。 - 定規はある?
定規は非搭載。サイズはカード型(W55.7×H91×D8.7mm)。多くのカードケース・長財布に収まる。 - アウトドア以外でも?
段ボール加工、紐の処理、ネジの応急など、日常の微作業でも活躍。 - 日本製のこだわりは?
岐阜県関市の手仕上げと、燕三条製のノコギリ。合わせ精度の高さが使い心地を支える。
まとめ:最小の装備で、最大の安心をポケットに
停電・断水・避難――混乱の中で効くのは、即取り出せる最小ツールだ。CHACCARD(チャッカード)は、火を起こし、切って、整えて、固定するという初動の四役をカード一枚に凝縮。
バイクやガジェットが好きな大人なら、装備は軽く、判断は速く、動きは静かに。財布の定位置にCHACCARD(チャッカード)が入っているだけで、あなたの非常時は“待ち”から“攻め”に変わる。
次のツーリング前に、そして防災リュックの見直しの前に――カード一枚、仕込んでおこう。



