天然藍とは、タデ科の植物「蓼藍(たであい)」を発酵させて作られる天然染料のことです。日本では徳島県が特に有名で、「阿波藍」として知られ、古くから藍染の文化を支えてきました。
説明
天然藍は、化学染料が普及する以前から利用されてきた自然由来の青色染料です。タデ科の植物から葉を収穫し、水に浸けて発酵させることで「すくも」と呼ばれる染料の原料が作られます。このすくもを灰汁(あく)や日本酒などと混ぜ合わせ、染液を育てることで美しい藍染が可能になります。徳島県は江戸時代から藍の一大産地として知られ、「阿波藍」は全国に流通していました。藍染の布は鮮やかな青色だけでなく、防虫効果や抗菌作用、紫外線を防ぐ性質も持ち、生活に欠かせないものでした。現代では化学合成のインディゴが主流となりましたが、天然藍には自然素材ならではの深みのある色合いと経年による変化の美しさがあります。藍染はファッションやインテリアにも取り入れられ、海外からも高い評価を受けています。近年はサステナブルな素材として再注目されており、天然藍を活用した新しいデザインや商品開発が進められています。