レジリエンスは、つらい出来事や失敗があっても、気持ちや行動を立て直して前に進む力のことです。強がって我慢する力ではなく、「落ち込むのは自然だけど、少しずつ回復していける」という回復の力に近い考え方です。人は誰でもストレスを受けると心が疲れますが、レジリエンスが高いと、問題を整理して助けを求めたり、休み方を工夫したりしながら回復しやすくなります。生まれつきだけで決まるものではなく、考え方や習慣で育てられる点も特徴です。学校生活や部活動、仕事、人間関係など、あらゆる場面で役立つ“心の基礎体力”として注目されています。
説明
レジリエンスは「打たれ強さ」と似て見えますが、実際はもっと柔らかい力です。硬い棒は強く叩くと折れますが、しなる棒は形を変えて衝撃を逃がし、元に戻れます。レジリエンスも同じで、つらいことが起きたときに“平気なふり”をするのではなく、傷ついた自分を認めつつ、回復へ向かう力を指します。まず大切なのは、落ち込むこと自体を悪いことにしない姿勢です。悲しい、悔しい、不安だと感じるのは自然な反応で、その感情を否定すると回復は遅れやすくなります。次に「状況を分けて考える力」が役立ちます。たとえば失敗したときに「自分はダメだ」と全部を一つにまとめてしまうと、気持ちは重くなります。そこで、失敗した事実、原因、次にできる工夫、助けを借りられる相手、といったように分解すると、取れる行動が見えます。レジリエンスが高い人は、問題を“自分の価値”と混ぜにくいのです。さらに、回復を支えるのは思考だけではありません。睡眠、食事、運動といった体の土台が整うほど、心は立て直しやすくなります。寝不足のときに不安が増えたり、イライラしやすくなるのは、気合いが足りないからではなく、身体がストレスに弱くなっているからです。レジリエンスを育てる具体的な習慣としては、まず「自分の状態を言葉にする」ことが効果的です。頭の中だけで抱えると不安は膨らみますが、紙に書いたり、信頼できる人に話すと、問題が整理されて現実的になります。次に「小さなコントロール感」を増やすこと。たとえば、今日できる行動を一つ決めて実行する、机の上を片づける、5分だけ散歩するなど、規模は小さくて構いません。自分で選んで動けた感覚が、回復のエンジンになります。また「助けを求める力」もレジリエンスの一部です。強い人は一人で抱え込む、というイメージは誤解で、実際には、相談できる人や場所を持つ人ほど回復が速い傾向があります。最後に覚えておきたいのは、レジリエンスは常に一定ではないことです。疲れている時期は下がり、環境が整えば上がります。だからこそ、下がった自分を責めるより、回復しやすい条件を作ることが大切です。レジリエンスとは、苦しいときに“自分を壊さない”ための、現実的でやさしい技術なのです。


