11月8日は「刃物の日」──なぜその日なのか?

刃物と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、包丁やナイフ、ハサミといった日常の道具かもしれません。けれども、それらがただの「道具」で終わらないのが日本の文化です。そこには技術、歴史、そして祈りが宿っています。そんな刃物文化に光をあてる日、それが「刃物の日」です。
「いい刃(11/8)」の語呂合わせ
なぜ11月8日なのか? その答えは語呂合わせ。「いい刃(118)」というわけです。シンプルですが、この数字には深い意味が込められています。刃物を「いい状態」で保ち、「いい使い方」をしようというメッセージです。
そして同時に、私たちの暮らしを支えてきた刃物職人たちの努力に感謝を捧げる日でもあるのです。
刃物供養と職人への感謝の文化
日本には、使い終わった道具に「ありがとう」と伝える文化があります。刃物の日には、全国各地の刃物産地で刃物供養が行われます。これは、古くなったり壊れたりした刃物を捨てるのではなく、神社などで供養し、役目を終えた道具をねぎらう儀式です。
こうした習慣は、「物を大切にする心」と「職人への敬意」が結びついた、日本ならではの美しい風習と言えるでしょう。
刃物のまち・関市では何が行われているのか?
天研工業がある岐阜県関市は、800年の刃物づくりの歴史を誇る町。鎌倉時代から刀鍛冶の町として栄え、その技術は今も脈々と受け継がれています。
毎年11月には、関市主催の「刃物まつり」が開かれ、多くの人で賑わいます。職人による実演、包丁研ぎの体験、即売会や歴史展示など、刃物にまつわる文化と技術を身近に感じることができます。
ここ関市では、「刃物」は単なる道具ではありません。それは伝統であり、誇りであり、未来へ受け継ぐべき文化なのです。
チャッカードとは何か?──関市生まれの“切れるカード”

財布やポケットに収まる、わずか厚さ8.7mmのカードサイズ。その小さなボディに、火を起こす、枝を切る、ロープを裂く…など、アウトドアで必要な“生きるための機能”を詰め込んだツール──それがチャッカード(CHACCARD)です。
しかし、ただの便利グッズではありません。このカードには、関市の職人たちが受け継いできた刃物づくりの魂が息づいているのです。
ポケットに収まる多機能ツール
チャッカードはその名の通り、カード型マルチツール。主な機能は以下のとおりです。
- ノコギリ(小枝や木材のカットに)
- 鉋(かんな:木材を削って火種づくりに)
- 火打ち石&火起こし棒(着火用)
- 麻紐カッター(ロープ・結束バンドの切断)
- 缶切り・栓抜き(※通常版のみ)
- マイナスドライバー(※インディゴメタル版のみ)
これらすべてが、名刺サイズの中に格納されているのです。
まさに「機能を圧縮した刃物文化の結晶」といえるでしょう。
実際に「切れる」?使用感と安全性

「こんなに小さくて、本当に使えるの?」
そう思う人も多いはず。ですが、チャッカードに搭載されている鋸や刃物パーツは、燕三条・中屋製作所製の本格刃物。
実際、木の枝や麻紐などの素材はスムーズに切れ、火起こし機能も火花がしっかり飛ぶ実力派。多くのアウトドアユーザーが焚き火や緊急時に使っている実績もあります。
もちろん、刃の収納や安全性にも配慮されており、ケースは強化樹脂製でしっかりとした剛性があります。
アウトドア・防災でも活躍する実用性
チャッカードはその携帯性から、防災用品としての評価も高い製品です。
バッグの中、財布の中、車の中…どこにでも忍ばせておけるからこそ、いざという時に役立ちます。
また、焚き火や薪割りが中心のソロキャンパーにも人気。小枝を切り、木を削り、火を起こす…この一連の作業が、チャッカード一枚で完結するというのは、想像以上に快感です。
クラウドファンディングで注目を集めた理由
チャッカードはもともと、クラウドファンディングで誕生した製品。プロジェクト開始当初から話題を呼び、目標金額の1020%達成という大成功を収めました。
その理由は、単なる便利グッズ以上の「文化性」と「物語性」にあります。
- 刃物のまち関市の技術
- 燕三条の切れ味
- 藍染の伝統を未来に継ぐ挑戦
──このすべてが重なった結果として、ガジェットファン、職人技ファン、アウトドアファン…さまざまな層の心をつかんだのです。
燕三条×関市──技術の粋が詰まった鋸パーツ

チャッカードがただの「おしゃれなガジェット」で終わらない理由のひとつ。それが、鋸パーツの本気度にあります。
この部分は、新潟県の燕三条にある老舗メーカー、中屋製作所の手によるもの。つまり、刃物づくりの「東の雄」と「西の雄」がタッグを組んだ、まさに二大刃物都市の共演なのです。
「鋸の歴史は中屋の歴史」から生まれた刃
燕三条といえば、日本でも有数の金属加工の街。その中でも鋸の分野で圧倒的な存在感を持つのが、中屋製作所です。
彼らの合言葉は「鋸の歴史は中屋の歴史」。つまり、燕三条の鋸文化そのものを牽引してきた存在です。
100年以上の歴史で磨かれたノウハウが、チャッカードの極小鋸刃の中に詰め込まれています。
この鋸パーツ、ただ小さいだけじゃありません。切れる・滑らない・目詰まりしにくいという三拍子が揃っており、小枝や木片を切る際にその力を発揮します。
切れ味を支える製造工程と品質管理
「鋸は歯が命」。
中屋製作所では、炭素工具鋼材に焼き入れを施し、耐久性と硬度を高めています。小さい刃でも負けないタフさは、この工程によって支えられています。
さらに、目立て(歯の角度と形状の調整)は職人の手作業。それぞれの刃が「まっすぐ」「同じ角度」「適切なバランス」で配置されているかどうかを、一つひとつチェックしているのです。
つまり、チャッカードに使われている鋸パーツは、サイズこそ小さいものの、その中身はフルスケールの職人技そのもの。安価なコピー品とはまるで違う次元にある製品です。
世界にひとつ、「インディゴメタル」という革新

金属なのに、藍染め?
一見すると冗談のような話に聞こえるかもしれません。けれどそれは、本当に実現されたのです。日本が誇る伝統工芸「藍染」と、最先端の金属加工技術が出会って生まれた、唯一無二の新素材──インディゴメタル。
チャッカードの上位モデル、「チャッカード インディゴメタル」シリーズでは、この革新的な素材がケースの一部に採用されています。
金属に藍染?技術の常識を超えた挑戦
普通、藍染は布や革など「植物性の素材」にしか染まりません。ところが、この常識に真っ向から挑んだのが、大分県の長尾製作所。2016年に「藍プロジェクト」としてスタートし、約3年をかけて金属に藍を染める技術を確立しました。
特殊な染料に金属を漬け込み、気温・湿度・染料の熟成具合を読みながらタイミングを見極める──まさに職人の勘と経験が問われる手作業です。
完成したインディゴメタルは、深く澄んだ青、光を含んだような輝きを放ちます。同じ色合いはふたつと存在せず、まるで天然石のような風格すら漂わせます。
徳島×関の伝統工芸コラボ
藍染といえば、徳島県「にし阿波」。かつて藍の一大産地として栄えたこの地の天然藍を使っているのも、インディゴメタルの大きな特徴です。
そして、その素材を活かすのが、刃物のまち・関市の技術。
このふたつの地域の伝統が融合することで、チャッカード インディゴメタルは、ただの道具ではなく「語れるアートピース」として完成したのです。
バリエーションには、模様が異なる3種類があります。
- 炎〈HONOO〉
- 花火〈HANABI〉
- 槌目〈TSUCHIME〉
どれも表情がまったく違い、選ぶ楽しさがあります。
藍の機能性──消臭・抗菌・風合いの変化まで
藍染は見た目だけでなく、実用性にも優れた素材です。
- 消臭作用
- 抗菌作用
- 使うほどに深まる色味と風合い
長期間使っても清潔さを保ちやすく、まさにアウトドアツールにぴったりの特性です。年月とともに表情を変えていくこの素材は、使い込むほどに自分だけの道具に育っていく楽しさもあります。
チャッカードが映し出す、“日本のものづくり”
チャッカードは便利なガジェットであると同時に、日本のものづくりの精神を凝縮した存在でもあります。
目立つ機能や派手な演出ではなく、“使い心地”と“仕上がり”にこそ宿る技術。それを支えるのが、岐阜県関市の職人たちの手です。
関の職人が磨き続ける「合わせ」の技術
チャッカードに使われている刃物部品の中でも、特に驚かされるのがパーツ同士の「合わせ」技術です。
たとえば、毛抜きやピンセットなどで知られる関市の職人たちは、0.1mmのズレすら許さない精度で、先端同士がピタリと合うよう手作業で仕上げます。
そのノウハウが、チャッカードのカッターや鉋、鋸などの細部にも応用されています。
ただ機能すればいい、ではない。精密さと使用感のバランスを追求してきたからこそ、あの薄さにして“確実に使える”道具が生まれたのです。
精密で、美しく、長く使える道具の価値
大量生産では実現できない、「人の手で仕上げる」ことの価値。
チャッカードには、それがしっかりと残っています。たとえ量産化されたパーツであっても、仕上げと組み立てには熟練の技が投入されており、一つひとつに“完成度”の違いが見えるのです。
しかも、それがただの飾りではなく、長く使うことでさらに味わいを深めていく設計になっている。
たとえるなら、良い包丁や革靴のように、手になじみ、信頼できる道具として育っていく存在です。
「日用品×工芸品」の境界線を越えて
チャッカードは、日常で使える実用品でありながら、その奥には「工芸品」としての顔があります。
- 燕三条の刃物技術
- 関市の職人芸
- 藍染という伝統文化
これらが交差しているからこそ、チャッカードはただのツールではなく、物語を持ったプロダクトとして成立しています。
つまりチャッカードとは、「日用品と工芸品の境界線を越えた、語れる道具」なのです。
ポケットの中に忍ばせながら、ふとした瞬間にその背景を語れる──そんな“ストーリー性”こそ、日本のものづくりの真髄なのかもしれません。
「刃物の日」にこそ、“語れる道具”を持とう
11月8日「刃物の日」は、単なる記念日ではありません。
それは、道具に命を吹き込む職人たちに思いを馳せ、彼らの技術と精神を未来へつなぐ日でもあります。
そして今、私たちができることのひとつは、「ただの道具ではなく、語れる道具を選ぶこと」ではないでしょうか。
ただの道具ではなく、背景に物語がある
チャッカードは、機能だけで語るにはもったいないほど、背景の深い道具です。
- 鋸は燕三条の老舗による精密加工
- 組み立てと仕上げは関市の職人技
- ケースには藍染の技術を応用した新素材「インディゴメタル」
- クラウドファンディングで生まれ、支持され、進化したプロダクト
こうした「積み重ねられた時間と手間」こそが、チャッカードの最大の魅力。
たとえば人に見せたとき、「これ、ただのツールじゃないんですよ」と語れる。それが、この製品の本当の価値です。
チャッカードを通じて職人の魂を感じる

日本のものづくりには、「見えないところにこそ魂を込める」という美意識があります。
チャッカードは、まさにその精神の塊です。
ノコギリの刃、鉋の角度、火打ち棒の素材…ひとつひとつが妥協なく作られ、何年も使い続けられるよう設計されています。
そこにあるのは、目立たないけれど確かな“気配りの技術”。
触れたとき、使ったときに、それがはっきりと伝わってくるのです。
どこで買える?購入方法と公式情報
チャッカードは、現在公式オンラインショップにて販売中です。
クラウドファンディング時に注目された通常モデルに加え、数量限定の「インディゴメタルシリーズ」も取り扱いがあります。
🔍 購入はこちら → 天研工業公式ショップ
※モデルによっては売り切れ・再入荷待ちの場合もあるので、早めのチェックをおすすめします。
記念日や贈り物、自分へのご褒美に──。
「いい刃」の日に、いい刃物との出会いを。



