伝統×革新の物語――関の刃物文化と天研工業

創業1926年、天研工業が受け継ぐ“精密仕上げ”
岐阜県関市は、800年続く刃物のまち。天研工業はここで1926年に創業しました。私たちが強みにしているのは、一本一本を手で仕上げる“精密な合わせ”の技術。ピンセットや毛抜きなど、先端がぴたりと合わないと使い心地が落ちる道具で鍛えた精度は、カード型マルチツール「CHACCARD(チャッカード)」にも活きています。伝統の手技に基づきながら、現代の暮らしで“おすすめ”できる実用性へ落とし込む――それが天研工業のものづくりです。
“合わせ”の技術—プロが信頼するクオリティ
“合わせ”とは、左右のパーツや刃先をズレなく均一に合わせる加工のこと。角度やしなり、クッション性まで職人が微調整し、使った瞬間に「つまめる・切れる・外れない」を体感できる状態に整えます。プロが求める機能性を満たすため、見えない部分の面取りやバリ取りも妥協しません。その積み上げが、コンパクトなカードサイズでも確かな使用感を生む土台になっています。
産地連携(徳島の藍×岐阜・関の刃物×燕三条の鋸)
チャッカードは“歴史と文化のコラボ”でできています。刃物は関の職人仕上げ、ノコギリは新潟・燕三条の老舗メーカーが担当。そしてインディゴメタル版では、徳島「にし阿波」の天然藍を使った金属の藍染という日本独自の技術を採用。産地ごとの強みを結び、伝統が現代の道具へと進化しました。手に取れば、日本のものづくりの物語が一枚のカードに凝縮されていることが伝わります。
インディゴメタルとは――藍で金属を染める日本発の素材革命

にし阿波の天然藍と職人技のプロセス
インディゴメタルは、「金属を藍で染める」めずらしい技術から生まれました。使うのは、徳島県にし阿波産の天然藍。一般に藍染は布などの天然素材に使われますが、専用の染料槽に金属パーツを浸し、気温・湿度・染料の“育ち具合”を見ながら、職人が最適なタイミングで引き上げて発色させます。一本ずつ手作業で進むため、同じものは二つとありません。日本の伝統色「藍」を、現代の道具に落とし込んだ素材です。
JAPAN BLUEの個体差—世界に二つとない表情
インディゴメタルの魅力は、深い青のグラデーション。HONOO/HANABI/TSUCHIMEと名づけた意匠は、炎の揺らぎ、花火のきらめき、槌目のリズムを表現しています。染めは生き物のように変化するため、模様の出方や濃淡は一点一点異なります。ギフトなら「世界に一枚の表情」を贈れるのがうれしいポイント。使い込むほど色味に味が出て、持ち主だけの“育ち方”を楽しめます。
実用価値(耐久・耐食/消臭・抗菌への期待)
見た目だけでなく実用性も重視しています。ケース部材や金属パーツは耐久性・耐食性に優れ、屋外でも安心。天然藍は古くから消臭・抗菌に用いられてきた素材であり、清潔に保ちやすいのも特長です。チャッカード本体は、強化樹脂のケース、焼き入れで硬度を高めた炭素工具鋼の刃・鋸、高耐食のステンレス製ストライカーという構成。コンパクトでも“長く使える道具”として成り立つ設計です。
CHACCARDの設計思想と主要ツール
燕三条「中屋」製の鋸—小さなカードに百年の切れ味
カードの縁に、実は本格的なノコギリがあります。製造は、刃物の名産地・新潟県燕三条の老舗、株式会社中屋。細かなピッチで刃が並び、小枝や割りばし、段ボールの補強材などをスムーズに切れます。短いストロークでも食いつきがよく、押しても引いても切りやすい設計。小さなサイズでも「切れる道具」であることに妥協はありません。
鉋・火打ち石&ストライカー—安全に楽しむ火起こしのコツ
鉋(かんな)機能で木の表面を薄く削ると、細い木くず=火種が作れます。火打ち石とストライカーを擦ると火花が出るので、その火種に落として着火します。ポイントは3つだけ。
- 乾いた枝を使う、2) 削りくずをふんわり山にする、3) 風上に立たない。
これでキャンプや非常時でも、ライターがない場面に対応できます。

麻紐カッター/素材構成(強化樹脂・炭素工具鋼・ステンレス)
麻紐カッターは、ロープの端処理や結束バンドの切断に便利。露出刃が少なく、指先を守りやすい形状です。
素材は、ケースが強化樹脂で軽くて丈夫。刃と鋸は焼き入れをした炭素工具鋼でコシと硬度を両立。火起こしのストライカーは高耐食ステンレスでサビに強い。屋外での使用を前提とした、実用本位の組み合わせです。
【不安解消】初心者でも使える?使用シーン別の注意点
- ノコギリ:片手で持つ場合は、材料をしっかり固定してから。手前に引くときは力をかけすぎない。
- 火起こし:近くに燃えやすいもの(衣服・テント)を置かない。耐熱マットや土の上で作業する。
- カッター:紐の反対側に人の手がないことを確認してから切る。
- 片付け:水気を拭き、砂・土を落としてから収納。可動部のザラつきは乾いた布で優しく拭き取る。
通常版とインディゴメタル版の違い

機能差—栓抜き(通常版)/マイナスドライバー(インディゴメタル)
- 通常版CHACCARD:栓抜きを搭載。カード1枚でアウトドアの小さな“お楽しみ”に対応。
- CHACCARDインディゴメタル:マイナスドライバーを搭載(※栓抜きは非搭載)。テントの金具やネジのゆるみをその場でサッと締められます。
- どちらも共通:ノコギリ/鉋(火種づくり)/火打ち石&火起棒/麻紐カッター。
意匠の違い—HONOO/HANABI/TSUCHIME
- HONOO(炎):揺らめく濃淡が力強い印象。アウトドア派へのギフトに人気。
- HANABI(花火):きらめく粒のような表情。明るく華やかな雰囲気。
- TSUCHIME(槌目):金属を打ったようなテクスチャ感。クラフト好きに好評。
いずれも一点ごとに模様や濃淡が異なるため、「世界に一枚」のギフトになります。
用途別おすすめ早見表(どっちを選ぶ?)
- キャンプやBBQの歓談を盛り上げたい → 通常版(栓抜き)
- 日常のちょいメンテ・道具好きの相手に → インディゴメタル(マイナスドライバー)
- “日本らしさ”と工芸性を強く伝えたい → インディゴメタル(藍染の個体差)
- はじめてのカード型ツールで汎用性重視 → 栓抜きが便利な通常版
- 長く育てる風合い・希少性で選ぶ → インディゴメタル



