登山の日は「安全」の見直しの日
10月3日の登山の日は、装備をリセットする絶好のタイミング。
まずは命を守る核(保温/連絡/位置把握)を固定化し、緊急時に必要な火の扱いを確認しておきましょう。
火はむやみに使うものではありませんが、濡れと寒さに直面したときの切り札になります。本稿では、緊急時の火起こしに特化したCHACCARD(チャッカード)の機能を解説します。

安全の基本

登山やキャンプなどのアウトドアを楽しむために、まずは「つまずきやすい所」をはっきりさせ、家を出る前のチェックを習慣にしましょう。初心者や親子登山でも、その場で迷わない“型”を持てば、山での判断がぐっと楽になります。
初心者がつまずきやすい三大リスク:道迷い/転倒・滑落/低体温
1) 道迷い
- 起きやすい場面:分岐の見落とし、ガス(霧)、夕方の薄暗さ。
- 予防:コースタイム+余裕1〜2時間で計画。地図アプリのオフライン保存+紙地図をセットで。分岐では“立ち止まって確認”を家族共通ルールに。
- 対処:迷ったらむやみに動かずSTOP(止まる→考える→観察→計画)。ホイッスル3回は救難信号。
2) 転倒・滑落
- 起きやすい場面:濡れた岩、落ち葉、木の根、下りの急斜面。
- 予防:シューズのグリップ重視。下りは“かかとからドン”を避け、小刻み歩行で重心を低く。ストックは長さを下り用に短めに。
- 対処:ねんざはまず固定(テープや三角巾)、その場で保温。無理な下降は事故を広げます。
3) 低体温
- 起きやすい場面:汗冷え+風、休憩で体が冷える、標高差で気温急低下。
- 予防:レイヤリング(速乾インナー/保温ミドル/防風防水アウター)。“汗をかきすぎない”ペース配分。休憩は短く、上着を先に着る。
- 対処:濡れを止め、風を遮り、糖分と温かい飲み物。エマージェンシーシートで体熱を逃がさない。
出発前の3チェック:天気・計画・装備

天気
- 山の天気は“風と雲”が主役。強風予報(10m/s目安)や雷可能性が出たらコース短縮か延期。朝と昼で予報が変わるので、前日夜と当日早朝の二重チェックを。
- 秋の低山でも放射冷却で冷えます。日没時間も必ず確認。
計画
- 子ども連れは行動時間=大人の7割を目安に。コースタイムに休憩を足し、15時には下山態勢。
- 登山計画書は「ルート/メンバー/連絡先/装備」を1枚に。家族や友人と下山連絡の締切時刻を決めておく。
装備(エマージェンシーグッズを核に)
- 最低限の核は保温・通報・位置把握。
- 保温:レイン上下、軽量ダウンorフリース、手袋・帽子、エマージェンシーシート。
- 通報:ヘッドライト+予備電池、ホイッスル、スマホの緊急設定。
- 位置把握:オフライン地図、紙地図+コンパス、反射材、予備バッテリー。
- 日帰りでも水・行動食は余分に。余裕は安全そのものです。
- 親子登山は「子ども用の上着・非常食・ホイッスル」を各自に分散。一人が落としても全滅しません。
最低限のエマージェンシーグッズ(個人ベースキット)

保温
- レインウェア上下/エマージェンシーシート
- 薄手の保温着(フリースor軽量ダウン)
- 手袋・帽子/大きめジッパー袋
連絡(通報)
- ヘッドライト+予備電池
- ホイッスル(救難は3回)
- スマホの緊急SOS設定/メモ+ペン
位置把握
- オフライン地図を保存したスマホ
- 紙地図+コンパス
- 予備バッテリー+ケーブル
- 反射材
置き場所ルール:上段=ライト・ホイッスル・メモ/内ポケット=バッテリー/紙地図はすぐ出せる外ポケット。
親子は子にもライト・ホイッスル・薄手上着を持たせて分散。
緊急時の「火」はなぜ必要か

雨や汗で濡れ、風が強い状況では、保温着だけでは回復しない冷えが起こります。指定地以外での直火は原則禁止ですが、生命に関わる緊急時には小さく・短時間で・確実に火を起こし、体温回復や濡れ装備の乾燥を図る判断が必要になることがあります。
※実施可否は現地のルールと安全を最優先。可能ならストーブや山小屋に頼るのが基本です。
1) 鋸(ノコギリ)—切る
- 目的:濡れた外皮の枝から乾いた芯を取り出す/扱いやすい長さに切る。
- コツ:親指〜人差し指太さの枯れ枝を集め、短く切って束にする。
2) 鉋(カンナ)—削る
3) 火起棒(フェロセリウムロッド)+ストライカー(火打石)—点火
- 目的:高温の火花を確実に火口へ落とす。
- 手順:
- 火口(削り屑)のすぐ脇で構える。
- 棒は固定し、ストライカーを手前に長く強く引く(火口が散らない)。
- 火花が乗ったら弱く息を送り、フェザー→細枝→太めの順に“そっと”載せて育てる。

緊急時の火起こしプロトコル(90〜180秒想定)

- 素材集め(30–60秒):枯れ枝(細→中)を手早く。濡れていても可。
- 前処理(30–60秒):鋸で短く切り、外皮が湿っていれば落として芯を出す。
- 火口づくり(60–120秒):鉋で極細削り屑とフェザースティックを作る。
- 点火(30–60秒):火起棒+ストライカーで火花を集中、息で育てる。
- 終了と消火:用が済めば完全消火。灰を崩し、熱が残らないことを確認。
事前訓練:自宅の庭やキャンプ指定地で「削り屑30秒→点火30秒→細枝30秒」の練習を3回。成功率が段違いになります。
まとめ|登山の日は“火まで含めた安全”の棚卸しを
安全登山の要は「先に準備・先に着る・先に知らせる」。そこに緊急時の火を扱える自信が加われば、判断の幅が広がります。
CHACCARD(チャッカード)は、切る(鋸)→削る(鉋)→点火(火起棒+ストライカー)の流れをカードサイズに凝縮。通常版は栓抜き、インディゴメタルはマイナスドライバーを備え、モデル識別も明快です。
これを機会にあなたのエマージェンシーキットをアップデートしましょう。