キャノピームーブは、木の上(樹冠部)で枝から枝へと安全に移動する技術や動き方を指します。地上と違って足場が細く揺れるため、体の位置、ロープの張り具合、手足の置き方がとても重要です。無理に遠い枝へ手を伸ばすとバランスを崩しやすいので、近い確実な枝をつないで移動します。ロープやランヤードを適切に使い、三点支持を意識しながら進むことで、落下や枝折れのリスクを減らし、木にも余計な負担をかけにくくなります。
説明
キャノピームーブ(樹冠移動、樹上移動)は、ツリークライミングにおける“上に登る”段階を超えた技術で、樹上で作業位置を変えたり、枝先へアクセスしたりするための移動方法の総称です。キャノピーは枝が複雑に交差し、足場が不規則で、しかも枝がしなります。そのため、地上の移動とは違い「身体の重心」「支点の信頼性」「ロープの角度」を同時に管理する必要があります。基本の考え方は、移動する前に“次の安定”を作ることです。つまり、次に立つ枝・掴む枝・体を預けるロープの位置を先に決め、順番に体重を移します。ここで三点支持が効きます。片手を伸ばして届くか不安な距離は、無理に行かず、一つ手前の枝を中継点にして段階を増やします。安全なキャノピームーブでは「大きく一歩」より「小さく確実な二歩」が勝ちます。ロープワーク面では、トップアンカー(主支点)の位置が移動のしやすさを左右します。支点が遠いとロープ角度が悪くなり、横方向の力が強くなって枝への負担も増えます。必要に応じて支点を付け替える(リダイレクトを取る、作業位置の取り直しをする)ことで、力の方向を下向き中心に整えられます。これは安全性だけでなく、バークフリクション(樹皮との摩擦)を減らし、木を傷つけにくくする点でも重要です。また、キャノピーでは視界が遮られやすく、枝の太さや状態を錯覚しがちです。足を置く前に、枝の付け根寄りか、先端寄りかを意識します。一般に付け根に近いほど強く、先端ほどしなりが大きく折れやすい傾向があります。移動中は常に「落ちたらどうなるか」も想像します。落下距離だけでなく、途中の枝にぶつかるリスク、振られ(スイング)で幹に当たるリスク、ロープが絡むリスクまで考慮し、危ない角度なら移動ルートを変えます。上達のコツは、低い位置で反復し、体の使い方を学ぶことです。足で枝を“踏む”のではなく“乗る”、膝を柔らかく使い揺れを吸収する、腕力で引き上げず体幹で姿勢を作る、といった要素が重要です。キャノピームーブは派手に見えますが、実態は地味な準備と確認の積み重ねです。その積み重ねが、作業効率と安全、そして樹木保護の三つを同時に高めます。


