バークフリクションは、ロープや装備が樹皮に触れて動くときに生まれる摩擦のことです。摩擦が大きいとロープ操作が重くなったり、樹皮が削れて木を傷つけたりする原因になります。特にツリークライミングでは、ロープが幹や枝にこすれ続けると、木に負担がかかるだけでなく、ロープ自体も傷みやすくなります。そのため、ロープの角度を整えたり、支点を工夫したり、必要に応じて保護具を使ったりして摩擦を減らすことが、安全と樹木保護の両面で大切です。
説明
バークフリクション(樹皮摩擦)は、ツリークライミングで非常に重要な概念です。ロープは強い力を受けながら幹や枝に触れ、微小な動きを繰り返します。その結果、樹皮が擦れて削れたり、熱が発生してロープの繊維が劣化したりします。つまりバークフリクションは「木を傷つける要因」であると同時に「装備を傷める要因」でもあります。摩擦が問題になる場面は大きく二つです。一つ目は、ロープが幹に巻き付くような角度になっている場合。ロープ角度が横方向に強いと、幹に押し付けられる力が増え、摩擦が増大します。二つ目は、同じ場所を何度もロープが往復する場合。下降・登高のたびに同じ樹皮を擦ると、樹皮の表面が削れ、最悪の場合は形成層に近い部分まで傷つき、木の生育に影響が出ます。対策の基本は「力の方向を整える」「接触を減らす」「接触部を守る」の三つです。まず力の方向は、できるだけ下向きに荷重がかかるよう、支点位置やリダイレクト(中継点)の取り方を工夫します。ロープが幹に横から強く当たる配置は避け、必要なら支点を付け替えて“素直な角度”を作ります。次に接触を減らすために、枝の間を通すルートを見直し、ロープが不要に幹へ擦れない経路を選びます。特に移動(キャノピームーブ)が多い作業では、動くたびにロープが擦れる場所が変わるため、早めに問題箇所を見つけて修正するのが効果的です。最後に接触部を守る手段として、樹皮保護のスリーブやカンビウムセーバー(樹木保護具)を使う考え方があります。これにより摩擦を装備側の保護具に集約し、樹皮へのダメージを減らせます。バークフリクションを軽視すると、木の傷だけでなく、ロープ操作が重くなって疲労が増え、判断ミスが起こりやすくなります。結果として撤退判断が遅れたり、無理な動きで枝に過荷重をかけたりする悪循環につながります。逆に、摩擦管理ができると、操作が軽くなり、動きが丁寧になり、木にも優しい登り方が実現します。ツリークライミングは「登れたら勝ち」ではなく、「安全に、木を傷めずに、同じ木にまた関われる形で終える」ことが理想です。その理想を支える裏方の概念がバークフリクションです。


