チャッカードの精度はどこで決まる?
「削り出しが軽い/火種がすぐ作れる」
——その差は、鉋(カンナ)ユニットの金型精度と、職人が最後に仕上げる“合わせ”で生まれます。量産設計で土台を作り、手の感覚で0.1mm未満を詰める。この二段構えが、アウトドア現場での確かな使い心地につながります。製造元の有限会社天研工業は、この二点を最重要管理ポイントとしてきました。「チャッカード(CHACCARD)」の使い心地=削りやすさ・火起こしのしやすさ・長く使えることは、ひとつの要素だけでは決まりません。
金型設計 → 打ち抜き加工 → 焼き入れ → 研磨 → “合わせ”という製造過程の総合力で決まります。天研工業はピンセットや毛抜きで培った0.1mm級の“合わせ”を、鉋(かんな)パーツにも応用。だから小さなカードなのに、日本製らしい精密さが出せます。
“金型設計×焼き入れ×研磨×合わせ”の総合で決まる

量産で同じ“削れ味”を出すには、まず金型の精度が要です。ここで決まるのは、鉋刃の角度、受け面の平面度、部品どうしの位置関係。この土台がズレると、どれだけ手で合わせても「初動が重い」「屑が厚い」といった違和感が残ります。
- 金型(かながた)で形の精度が決まる。刃先角やクリアランスをここで設計。
- 打ち抜き後の熱処理で「硬さ」と「粘さ」のバランスを作る。欠けにくさに直結。
- 研磨・ラップで面粗度を整える。初期の切れと耐久を両立。
- “合わせ”でズレを消す。左右・上下・開閉の微調整により、狙った位置で均一に削れる。
- これらを職人の手作業で詰め切るのが天研工業の強みです。
“鉋(かんな)機能”を理解する——チャッカードにおける役割

焚き付けづくりの要:薄く一定に削ること=精度の証明
チャッカードの鉋は、木材表面を薄く・一定の厚みで削るための小さな刃です。
薄い削りくずが連続して同じ厚みで出るほど、刃の角度・面の平滑さ・“合わせ”が良い証拠。
アウトドアでは、着火しやすい細い削りくず(フェザースティック)を素早く作れます。これはカードサイズでも日本製の精度が効いているからできる芸当です。
木端や繊維の“毛羽立ち”を整える小ワザ
板の木端(こば)や繊維の毛羽立ちを軽く撫でるように削ると、引っかかりが減って触り心地が良くなります。
ポイントは軽い力で同じ角度を保つこと。ムラなく当たるのは、“合わせ”の精度で刃先がまっすぐになっているからです。
一般的なマルチツールの刃と何が違う?
- 多くのマルチツールは「切る・こじる」用途が中心。面を一定に削るのはやや苦手。
- チャッカードは刃先角・逃げ角・面粗度を最初から「削る」前提で設計。
- さらに天研工業の手仕上げで0.1mm級の“合わせ”を追い込み、カードサイズでもガタつきが少ない。
結果として、薄く・滑らかに・繰り返し同じように削れるので、焚き付けづくりや細部の整えが短時間で安定します。
日本製が生む精度——天研工業の製造思想
「関」の刃物文化と職人の手仕上げ
岐阜県関市は、刀鍛冶の系譜から続く「折れず・曲がらず・よく切れる」の思想が根っこにあります。
天研工業では、チャッカードの小さなパーツでも一本一本を手で“締める”仕上げを徹底。工場出荷の前に、削り当たり・刃先の直進性・引っかかりの有無を実際に触って確認します。図面どおりでも、触感で違和感があれば微修正**。この“最後のひと手間”が削りくずの薄さ・連続性に表れます。
0.1mm単位の“合わせ”文化(ピンセット技術の横展開)
天研工業はピンセットや毛抜きで、先端のズレを0.1mm以下で詰める“合わせ”を磨いてきました。
このノウハウをチャッカードの鉋・鋸・ストライカー周りに横展開。
- 左右・上下の平行度を詰め、同じ角度で当てても同じ削りになるよう管理。
- 打ち抜き後の焼き入れで生じた微歪みも、研磨と“当て”の調整で補正。
結果、カードサイズでもガタつきが少なく、一定の切削が続くようにしています。
品質の考え方(機能性/耐久性/デザイン性の三位一体)
- 機能性:削れる・着火できる・小枝を切れる——それぞれが狙いどおりに作動すること。
- 耐久性:打ち抜き→焼き入れ→研磨の配列で、硬さ×粘さを両立。欠けにくく、長持ち。
- デザイン性:手に取った瞬間の質感と精密感。見た目だけでなく、触ったときの整いも重視。
この三つを同時に満たす設計と手仕上げが、日本製・天研クオリティの核です。
日本製で天研を選ぶ意味

「日本製だから安心」で終わらせず、なぜ使い心地が続くのかまで語れるのが有限会社天研工業です。
職人が“合わせ”で0.1mm未満の微差を指先と試し削りで詰める。こうして薄く連続する削り屑(毛トシ)と、スッと入る削り出しが生まれます。さらに一本一本の当たり確認を行い、調整値を工程ごとに記録。万一のときも“以前の使い心地”に戻せる再現性を担保しています。背景には、刃物の町・関市で培った手仕上げの勘所と、鋸などで知られる燕三条の専門技術といった、国内ネットワークの底力もあります。
素材選定から熱処理、仕上げまでが日本製ならではの一体感でつながり、現場で感じる「軽さ」と「均一さ」を長く支えます。



